週末、バスに乗って最寄り駅の近くに行くと、窓外に人だかりができているのが見えた。大きなケヤキの木陰に運動会のときに見るテントが張られ、そのまわりに何本かの幟が立っている。パタパタと風にはためく布に書かれた文字を見て、僕は瞬時に、20年前にタイムスリップを起こしていた。

「そういえばあのときも、暑い夏の日だったなぁw」

自然と、口の端に笑みが浮かんでしまう。ちょっと前までだったら、こんな幟を見ただけでいろいろなことを思い出して、涙ぐんでいたと思うけど。ルナが家にやってきてくれたことで、少しずつペットロスの傷が癒されてきているんだろうなぁ。

件の幟には、こんな言葉が書かれていた。

“里親 譲渡会”

僕が初代愛猫・ミュウと出会ったのは、こんな暑い夏の日の、里親譲渡会のテントの下だったのだ。

当時住んでいたJR浦和駅の西口で、毎週のように里親会の方々が譲渡会をやっていることは遠目で見て知っていた。いつも人だかりができていて、「かわいい~♪」「飼いたいなぁ」なんていう黄色い声が飛び交っていたのを、近くを通りかかるたびに聞いていたから。僕は子どものころからずっと、ネコを切らしたことのない家庭で育っていたので(お袋が無類のネコ好きで、いまも実家に8匹くらいいる……w)、猛烈なネコLOVE男であることを自認していた。なのでこういった場面に遭遇するたびに、

「1匹引き取れたらな……」

なんて考えていたものだが、このころはペット禁止のマンションに住んでいたこと、そして週刊誌のニュースチームにいたのでとてつもなく生活が不規則だったことから、あえてネコのいる風景を遠ざけていたのである。

……でもこのときは、何かが違っていたんだろうな。

元気なおばちゃんたちが仕切っていた譲渡会の現場にフラフラと吸い寄せられ、気づけば、まだ目が開いたばかりと思われる小さな小さな黒いネコを手のひらに乗せてしまっていた。黒い子ネコは、僕の手のひらの上で小刻みに震えながら時折チラリとこちらを見ては、

「ぴゃーーー!」

と甲高い声で鳴いてみせた。

「かわいいでしょう^^ その子、双子ちゃんなんですよ^^」

おばちゃんの目線の先を追うと、なるほど、手のひらの子ネコとそっくりな黒ネコが、ケージの中でパタパタと走り回っていた。どちらも“いかにも雑種!”という風体をしていたが、4本の脚すべてに白いソックスを履いていて、それがたまらなくチャーミングに見える。いつしか、手のひらの子ネコは目をつむって、僕の胸に体重を預けてきていた。突然、電池が切れたように眠ってしまう子ネコらしい仕草。

「あらあら。すっかり安心しちゃってますね^^ おにいさん、ネコに好かれやすいみたい^^」

おばちゃんの言葉は即座に社交辞令と解釈したが、手の中で舟をこぎだした黒ネコを眺めているうち、僕自身が予想だにしていなかったセリフが口から飛び出してしまっていた。

あの……! この子、引き取らせてください!!

言った瞬間、(マンションどうしよ)、(出張のときはどうすれば??)なんて疑問が頭をよぎったが、そのときはとにかく、「この黒ネコは、俺が幸せにする!!」っていう気持ちが圧倒的に勝ってしまっていたのだ。……まあ、なんとかなるだろう!(実際、マンションは条件付きでペット可物件だったのだがw)

これが、のちに20年もの歳月をともにすることになる、ミュウさんとの出会い。

続きは……またそのうちにw

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